株式会社スガテック

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プロジェクトストーリー

プロジェクトストーリー

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SN5コークス炉建設工事

製鉄プラント分野において、高炉建設と並ぶ花形がコークス炉建設です。しかも次世代コークス炉と呼ばれ、これからのコークス炉建設の主流になるものに携われるとなると、エンジニアたちの血は騒がずにはいられません。SN5と称される次世代コークス炉『SCOPE21』の2基目の建設にスガテックが挑んだとき、そこには夢に駆り立てられた男たちのそれぞれの想いが凝縮していました。担当した技術者達の、当時の声をご紹介します。

日本製鉄 名古屋製鉄所 第5コークス炉

 

コークス炉の寿命は40〜50年、
ここ10年前後に更新の嵐がやってくる。

 

 製鉄を行ううえで、製鉄プラントの設備はすべてがなくてはならないものですが、そのなかでも上工程の主役は『高炉』と『コークス炉』になります。高炉に鉄鉱石を投入し高熱を加え銑鉄を取り出すとき、還元剤として不可欠なのがコークスと石灰石であり、そのコークスを作るのがコークス炉だからです。
 1970年代、日本では高度成長の波に乗って全国各地に製鉄プラントが建造されました。それらの場所では、スガテックのエンジニアリング技術が高炉だけでなくあらゆる設備建設に発揮されたことは言うまでもありません。しかし、コークス炉の寿命は通常40~50年といわれています。つまり2010~20年代にかけては、次々と寿命を迎え、更新(建替え)が必要になってきているのです。
 とはいうものの、コークス炉には燃焼効率の改善やCO2の排出削減など、いくつかの課題がありました。そこで来たるべき更新を見据え、次世代コークス炉の研究・開発が経済産業省管轄のもと新日鐵を中心とする鉄鋼メーカー共同で進めた結果、『SCOPE21:Super Coke Oven for Productivity and Environmental Enhancement Toward the 21st Century』と名付けられた次世代コークス炉が開発されたのです。この新たなコークス炉は現行炉と比べ、コークスをつくる乾留時間を約20時間から約13時間に短縮して生産効率の向上が図れるほか、CO2の排出も年間約10万~20万トン削減できると試算され、多くの期待を集めての誕生でした。

 

 

SO5からSN5へ、技術とノウハウをリレー。

 

 SCOPE21が初めて実用化されたのは、2008年5月に稼働を開始した新日鐵大分第5コークス炉(略称:SO5)でした。この新設工事を請け負ったのがスガテックで、2基目となる新日鐵名古屋5コークス炉(略称:SN5)の建設でも、スガテックの総合エンジニアリング技術が活かされることとなります。
 「このような大きなプロジェクトになると、施工は1社単独ではなく複数の会社が分担して工事を行います。大分のときは炉体本体といった中心部分をスガテックが施工しましたが、名古屋は炉体周りのプラットホーム機械や配管を担当しています。炉体本体の工事ではありませんが、大分での経験が活かせる、やりがいのある仕事です」と語るのは、工事監督の伊藤 昴。伊藤はSN5への異動前、新日鐵大分SO5プロジェクトで初の次世代コークス炉建設に携わっており、その経験を買われての抜擢でした。
 「2011年9月から関わっていますが、13年6月の稼働に向けて、私たちの工事が佳境に入るのはこれからなんです。いまは炉前プラットホームなど付帯的な工事と計画書作成が主体ですね」(伊藤)
 伊藤とチームを組んだのが、当時入社4年目だった久保田將之と石橋裕樹。久保田が伊藤のサポート的立場で実際の工事現場の監督を行い、石橋は配管系の工事監督を行うという役割分担。入社年だけでなく二人に共通していたのは、ともに住友金属鹿島のコークス炉建設工事を終えて2011年11月にSN5プロジェクトに異動で赴いたことでした。これはそれぞれの担当分野で習熟した技術を、SN5で発揮することを期待されてのことです。

 

 

スガテックマンとしてのプライドを胸に。

 

 「次世代コークス炉建設に携わるのは初めてで、すごくうれしいですね。炉体本体の工事ではなくても、周りを固める、炉体を心臓としたら血管とか筋肉をつくっているわけです。自身で培ってきた誇りとスガテックマンとしてのプライドをかけて取り組んでいます」(石橋)
 久保田はこう語る。「私たちが担当している機械の据付けは、例えばガイド車のレールなど誤差レベルプラマイ5を求められています。つまり5mmが許容範囲。こんな大きなプラントの中の5mmなんて、と思うかもしれませんが、そこはシビアであるべきです。だからこそ自分は1mmの範囲でやり遂げるつもりでやっています」
 同じく石橋も「コークス炉にガスを供給するミックスガス本管を工事しましたが、ガス漏れは絶対に許されないものなので、これは誤差1mmが絶対条件です。1本が4.5m、直径1.8mの管を約100m、誤差なくつなげていくのは本当に大変でした」 工事工程をこと細かく規定するのが計画書ですが、効率的に短期間に工事を行う術を考えるのが一番大変であり、かつ一番面白いところだと異口同音に言います。石橋は「据付け方法が思いつかないときもあります。そのときが一番きついのですが、必ず方法はあります。先程のガス管も地下通路での据付けで、1.8mの管が入ると左右天地に500mmの余裕しかない。とても重機なんて使えないんです。考えた末、管を送りこむためだけのレールを敷き、100m先の出口からウィンチで引っ張りました。これを思いついたときには武者震いしましたね」と付け加えた。
 「自分の書いた計画書通りに工事が進み、何のトラブルもなく終わるのが理想。そしてその計画書がスガテックのスタンダードになることが夢。監督なら誰しもそう思っているはずですよ」(伊藤) SN5の工事完了は2013年6月。3人の男達の顔は、竣工を迎えた安堵感と達成感に輝いていたことでしょう。

 

コークス 石炭を高温乾留して得られる、多孔質で固い炭素質の個体。
鉄鉱石から鉄を取り出す際の還元剤として使われる。火つきは悪いが無煙燃焼し、火力は強い。
コークス炉 石炭を蒸し焼きして鉄鋼材料となるコークスを製造する設備。
  • 伊藤 昴

    伊藤 昴

    工事部
    SN5工事プロジェクト班
    2007年入社

     

    機械工学科卒計画書でも図面でも、『伊藤がやった仕事』という後々まで残る仕事がしたい。もちろんそれがスガテックのスタンダードになることが夢。

  • 久保田 將之

    久保田 將之

    工事部
    SN5工事ブロジェクト班
    2009年入社
    機械システム工学科卒

     

    就活で現場見学(大分支店)したとき、スケールの大きさに圧倒されて、自分がこれらを造るのに貢献できるならと即決。選択は正しかった。

  • 石橋 裕樹

    石橋 裕樹

    工事部
    SN5工事プロジェクト班
    2005年入社
    商業科卒

     

    担当しているのはまだ部分的な工事が多いので、1から10まで全部監督でできるようになるまでスキルアップしたい。若手が多く活気があっていい。