2023年4月1日から2024年3月31日に至る第71期の事業報告書をお届けするに当り、平素のご支援、ご愛顧に対し厚くお礼を申し上げます。
当事業年度におけるわが国の経済は、コロナ禍を乗り越え、緩やかな回復基調を取り戻したものの、物価の大幅な上昇や急激な円安の進行などがあり、内需は力強さを欠きました。
当社の主要顧客先である鉄鋼業界におきましては、低迷する内需に加えて、中国の景気低迷や欧米の景況感悪化より外需も振るわず、2023年度の国内粗鋼生産量は8,683万トンとなり、前年度に比べ1.1%下回り2年続けての減少となりました。
当事業年度の業績につきましては、大型工事案件の端境期の中、設備保全工事を中心に、新規や追加案件の迅速かつ着実な取込みなどにより、年間売上高382億8千5百万円を計上することができました。利益面につきましては、物価高騰などの事業環境の変化にも対応しながら、コスト管理を強化し、経常利益31億2千6百万円、当期純利益21億6千8百万円を計上することができました。
世界経済は、ロシア・ウクライナ戦争や中東での紛争勃発など地政学的リスクの顕在化、エネルギー・素材・食料価格高騰によるインフレ、欧米の金融引き締めの長期化、中国における不動産市況の停滞などによる低迷した状況が継続すると見ざるを得ません。鉄鋼需要も、国内・海外ともに低位に留まり、厳しい事業環境が継続すると想定されます。
このようなときこそ、「進むべき道を切り拓くのは私たち自身」と考えます。タイムリーに私たちの進むべき方向を定め、チャレンジ精神を忘れずに自らと自らの仕事の価値を高める努力を続ける強い思いを込め、2024年のスローガンを、
”「Challenge for the Next」進むべき道を自ら切り拓こう!”としました。すべての関係先から信頼されて前進するスガテックを目指し、「安全・環境・防災・コンプライアンス」と「採用・育成・定着」を基軸に、一人ひとりが働きがいを感じて活躍できる会社を築いてまいります。
まず、安全につきましては、「管理者の本気度(リーダーシップ)」、「当事者意識(コミットメント)」、「継続的な対話活動(コミュニケーション)」、「安全にコスト投入(リソースマネジメント)」の4要素を強く意識して安全活動を実施しております。今後も「安全に強い人づくり」と「安全な仕組みづくり」を両輪とした安全活動をより進化させて、安全に強いスガテックファミリーの構築に向けて注力してまいります。また、近年の異常気象や地震多発などを踏まえて、環境・防災への意識を一段と高め、基盤的な部分をレベルアップしていきます。
社内及び協力会社の世代交代が加速していく中で、大型工事の確実な実行を可能とする「工事する力」、設備安定稼働と更なる効率化を目指す「整備する力」、生産設備構造改革や競争力強化に資するEPC(エンジニアリング・調達・建設の一括契約)の推進による「お客様への提案力」の3つの基本課題の強化を引き続き進めてまいります。更に当社の人づくりの一環として、新たに愛知県常滑市に技能力向上のための技能研修センターが、今年3月に完成しました。技能職の更なるレベルアップと専門性のあるプロフェッショナルの育成を図り、全社の技能レベルの発展に繋げていきます。
「働き方改革」では、2024年問題(建設業に対する時間外労働の上限規制の適用)に対し、長時間労働の抑制、勤務時間管理の強化、業務の効率化・最適配分を推し進めるために全社組織として立ち上げた「働き方改革推進プロジェクト」において、全社員の尽力により目的を完遂いたします。かねてから取り組んでいる作業の半自動化や機械化、AIを含むIT活用などのDX推進と合わせて、サステナビリティの一層の充実と社員間の「繋がり」も強化してまいります。
従来から継続中の「現場力向上推進プロジェクト」「みんなの活躍推進プロジェクト」は新たな時代に求められる活動を展開し、「事務管理力向上推進プロジェクト」は育成定着・処遇改善に着目した「長く働きたい職場づくり」を目標とするプロジェクトへの進化を検討していきます。全社業務改善活動である「ステップアップ活動」で一人ひとりが自分自身を磨きつつ、コロナ禍で拡充されたWeb会議と、面着会議を織り交ぜたハイブリッドによる対話を行い、箇所・部署間を越えた「濃密な対話」を心がけ、社員の相互連携を強化していきます。また、世の中の変化が加速して従来条にコンプライアンスが重視される中で、信頼される会社運営の大前提となる内部統制・規律向上活動も更に充実させて、会社の「持続的成長」と「発展的継続」をともに実現してまいります。
当社は今後も社会とお客様、協力会社をはじめとするお取引先、株主の皆様及び従業員とその家族から信頼され、貢献できる企業を目指し、鋭意努力してまいりますので、ご理解とご支援、ご鞭撻を賜りますようお願い申し上げます。
2024年7月
代表取締役社長 上野浩光